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zoom RSS 特上カバチ!!(カバチタレ2)A・「親権の濫用」「代理権の濫用」など

<<   作成日時 : 2010/02/14 22:13   >>

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今回のあらすじは、ざっと以下のとおりでした。
(☆第1弾はこちらです☆)


大野行政書士事務所所長・大野勇の娘、大野杏は、甲斐くんという男の子と結婚を前提にした真剣交際をしている。

しかし、甲斐くんは、未成年であるにもかかわらず多額の借金を抱えていることが判明する。

ただ、実際にはその借金は、ギャンブル好きの父親・甲斐正太郎のものだった。

父・正太郎は、
子・甲斐くんに対する親権を行使し、甲斐くんの代理人として金銭消費貸借契約を消費者金融との間で締結したのだから、債務者は息子である甲斐くん自身である、
などと主張している。


このような設定自体、とても不自然で無理のある話だなぁと思うのですが、

ドラマでは、行政書士補助者・田村のかなり奇抜な手段で解決していました。

それは、正太郎と消費者金融との間で取り交わした契約書の不備を突くものでした。

すなわち、
契約日付が空欄になっていることをうまく(?)利用し、
夜遅くにみんなで解決策を相談しているふりをし、それをわざと長引かせ、
その間、「本日」の日付を債権者の手で記入させつつ、さらにのらりくらりと時間稼ぎをする。
一方で、行政書士補助者の栄田は、甲斐くんと杏ちゃんの婚姻届を役所に提出する。

そして、午前0時をまわり、「翌日」になったところで、

田村らは債権者に対し、

「昨日付けで二人の婚姻が成立し、『成年犠牲』によって甲斐くんも成人とみなされるため、父・正太郎の親権行使は無効だったことになり、よって、金銭消費貸借契約も無権代理無効である。また、我々は成年である甲斐くん自身から正式に依頼された者であり、また、この事務所に閉じ込められていること自体、我々の意に反した監禁行為であり、もちろん『親権者』の意思が介在する余地もない」

という趣旨のことを主張して、一件落着(?)した、


というストーリーでした。



しかし、そもそもそんな回りくどい「奇策」を使う必要があったのでしょうか。

だいたい、田村が良く使う、

「人生には正解がありませんが、法律には正解があります!」

というセリフに違和感を覚えます。

人生と同様、法律にも正解はありません。

解決法はひとつではないし、
もっと言うと、仮にある揉め事が形の上では「解決」に至ったとしても、

それは果たして根本的な解決になったのか、また、選んだ手段は適切だったのか、そのやり方は、「正しい」といえるのか、

なんていうことは、誰にもはっきりとは分からないですし、
立場が変わればそれらに対する感じ方もまったく変わってきます。


そのことを踏まえ、
私なりに、もっと自然な解決法があったのではないかと感じましたので、
ほんの一例に過ぎないとは思いますが、以下にまとめてみます。



まず、「親権」といっても、大きく分けて「身上監護権」と「財産管理権」がありますが、
今回問題となったのは「財産管理権」です。

民法824条をみると、その内容は、「財産管理」と「(法定)代理権」であることが分かります。

この代理権行使について判例は、

「それが子の利益を無視して自己又は第三者の利益を図ることのみを目的としてされるなど、親権者に子を代理する権限を授与した法の趣旨に著しく反すると認められる特段の事情」があれば、そのような行為は「代理権の濫用」にあたる、

としています。

今回は、正太郎は競輪などにその金をつぎ込み、負ければまた子の名義で借金をする、という行為を繰り返しているので、「特段の事情あり」とされる余地は十分にあります。

濫用と認められれば、民法93条ただし書が類推適用され、
行為の相手方(今回は消費者金融側)が、この濫用の事実を知っていたか知ることが出来た場合には、その行為(つまり借金をするという行為)の効果は甲斐くんには及ばないことになります。

ただ、ここでそれらの「特段の事情」そのものや、代理権濫用の事実を消費者金融側も知り得た、
という点についての立証責任は甲斐くんの側にありますので、このあたりは負担になるかもしれません。
いろいろと言い逃れをされたら立証が難しそうな気もします。。。。



さらに、今回はかなりの荒業で「成年擬制」の状態を作り、それによって親権を終了させましたが、
この点についてももっと別のやり方があります。

それは、民法834条に規定された、「親権喪失の宣告」です。
親権者が親権を濫用し、または著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族または検察官の請求により、「親権喪失の宣告」をすることが出来ます。

ただ、「親権の権利性」というのはとても尊重される傾向にあるので、
請求が認容されるのは少ないのが実態のようです。

今回のようなかなり極端なケースでは、
当然に認められて良いようにも思いますが、
実際の運用がどうなっているのかは分かりません。



以上のように、それぞれどのように立証していくべきか、そしてその困難度合いはどのくらいかは、ドラマの中の材料だけでは判断しかねるものの、
とりうる手段としては色々あるわけです。

いろいろとある選択肢の中から、こちら側の主張がもっとも通りやすいであろう現実路線的な手段から優先的に選んでいく必要があるでしょう。

とにかく、正解は決してひとつではありません。


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特上カバチ!!(カバチタレ2)のストーリーについて、 要件事実の考え方に従って整理してみたいと思います。 ...続きを見る
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