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zoom RSS 仕事に役立つ要件事実・第4回(虚偽表示-4)

<<   作成日時 : 2010/06/28 17:03   >>

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本シリーズでは「仕事に役立つ要件事実」と題し、

法務関連のお仕事をされている方、あるいは各種法律関連の資格試験の勉強をされている方々に有益と思われる、要件事実論の基礎について説明していきます。

バックナンバーはこちら↓
第1回・虚偽表示@
第2回・虚偽表示A
第3回・虚偽表示B

今回も、第3回目に引き続き、虚偽表示が問題となるケースを考えてみます。
今回は、民法94条2項(ただし、類推適用の事例)について少し詳しくみていきます。
(虚偽表示については今回が最後で、次回は「動機の錯誤」についてみていきます。)

【事例】

1.Xが本件建物を所有している。
2.X・A間で、X所有の本件建物につきA名義で保存登記をすることに合意。
3.本件建物につき、A名義の保存登記。
4.Aに対する債権者であるYが、本件建物を差押え。
5.XがYに対し、第三者異議の訴えを提起。


【訴訟物(Stg)】(←処分権主義)

XのYに対する、建物所有権に基づく(物権的妨害排除請求権としての)形成権たる執行法上の異議権(民事執行法38条、第三者異議の訴え)。


(解説)

・事例を把握したら、まず最初に「訴訟物」を確定しましょう。一般的には、「請求」という言葉を見つけると「訴訟物」を確定しやすいです。なぜなら、「訴訟物」とはつまり、「請求を基礎づけるために主張する(民法等の)実体法上の請求権」を意味するからです。
・ただ、本件のような「第三者異議の訴え」の場合は少し特殊で、訴訟物は上記のようになります。
・「第三者異議の訴え」とは、自己の所有物について、他人に対する債務名義によって強制執行を受けたことを排除するための訴えであり、妨害排除請求権の行使ということになります。


【請求原因(Kg)】(←弁論主義、Xに主張立証責任)

1.Xは、(平成〇年〇月〇日当時、別紙物件目録記載の)本件建物を所有していた。(Xもと所有)
2.Yは、本件建物を差押えた。


(解説)

・請求原因とは、訴訟物である権利または法律関係を発生させるための必要最小限の事実のことをいいます。

・「過去の一定時点における所有」のことを「もと所有」といいます。そもそも「Xが建物を所有している」というのは、口頭弁論終結時においてその建物を所有していることを指します。しかし厳密には、「現在のX所有」は「事実」ではなく単なる「法的評価」に過ぎません。すなわち、「過去のある時点における(売買などの)所有権取得原因事実による法的効果(たとえば所有権の移転)は、所有権消滅原因事実が発生していない限り現在も続いている」というように扱うのです。そうすると、逆にいえば、Xは建物が原始取得された時まで遡ってその後の所有権移転をすべて主張立証しない限り請求が棄却されることとなり、場合によってはXに不可能を強いることになります。そこで、所有権については「権利自白」が認められることになり、なるべく現在に近い過去のある時点における所有(「もと所有」)についてXY間で争いがなければ、Xとしてはそれ以上遡って所有権取得原因事実を主張立証する必要はないのです。

・本件の登記がX→Aの所有権「移転登記」だとすれば、Kg1.についてYは認めることになるでしょう。しかし単なるAの「保存登記」である以上、Yとしては、「もと所有」の部分も含めて「Xが現在本件建物を所有すること」自体を否認することになります。



【Kgに対するYの認否】

1.否認(A名義で保存登記がなされているため)。(Xの立証が必要)
2.認める。(Xの立証は不要)


【抗弁(E1)】(←弁論主義、Yに主張立証責任)

(虚偽表示の抗弁)
1.A名義で保存登記がなされている。
2.A名義の保存登記は、X・A間の合意のもとになされたものである。
3.1.によって、Yは本件建物がAの所有であると信じた。(1.が仮装のものであり、また、Xが建物所有者であることを、Yは知らなかった。)


(解説)

・本件は前回の例と異なり、「虚偽の登記をすることの合意」はあるものの、「虚偽の意思表示(例えば売買の合意)」はないため、虚偽の意思表示についての具体的事実の摘示は不要です。

・1.については、「建物登記簿謄本」によって明らかになります。

・2.については、Xが認めているので自白が成立し、Yによる立証は不要です。

・3.に関して、Yの「善意」(民法94条2項)についてはY自身が立証する必要があります。そして、「無過失」の立証までは不要です。「善意」とは、正確には「登記が仮装のものであり、また、Xが建物所有者であることを、Yが知らなかったこと」を意味します。実務では上記E1の3.のように「信じた」と簡略されることも多いですが、より正確には( )の中のように摘示することができます。

・ちなみに、94条2項の「第三者」については、すでにKg2.において、Yが差押債権者であるとして主張されているので、改めての摘示は不要です(主張共通の原則)。



【E1に対するXの認否】

1.否認or不知(しかし、容易に立証される)
2.認める。(Yの立証は不要)
3.否認or不知(Yの立証が必要)


(解説)

・94条2項が「適用」されるケースの場合には、例えば@「売買契約締結の事実」などを前提とした上で、それに対してA「虚偽表示の事実」が主張され、さらにそれに対してB「善意の第三者」が主張されることになりますが、「類推適用」のケースだとそもそもAがないためその前提としての@もなく、結果としてBが上に繰り上げることになります。

都立大学法務会計事務所


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レイバン サングラス
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